ランニングに適した食事のタイミング【食後は危険】

ランニングに効果的な食事のタイミングが知りたい。
ランニングの前と後のどちらがいいの?

こういった疑問にお答えします。

カド
記事を書いている私は、過去に大学在学中の2年半のマラソン歴があります。 2度の怪我の経験から書籍で栄養や体について学び、食事と練習を改善し、初マラソンから2年で1時間の自己ベスト更新をしました。

ランニングに適した食事のタイミングはランニングの後

結論として、食事はランニングの後にしましょう。

なぜかというと、食事の消化もランニングも多くの血液を必要とするために、食後に走るには正常な血液循環に戻るまで待たなければならないからです。

その理由について、ランニングと食事によって起こる血液の動きを具体的に説明します。

ランニングで起きる、血液循環の変化

ランニング時は、走るためのに必要となる足を中心とした骨格筋へと血液量が集中します。

なぜかというと、酸素と栄養を血液が供給させて骨格筋が活発に動けるようにしなければ、走る運動を続けることができないからです。

そのように活動している筋肉へ血液が偏る影響で、内臓の血流循環が大きく低下してしまいます。

食事で起きる、血液循環の変化

一方で、摂食時には消化管(内臓)への血流量が集中します。

なぜかというと、摂取した食べ物から積極的に栄養素の消化吸収をするために消化管の動きを活発化させる必要があるからです。

食後のランニングで起こる、体内の混乱

ランニングと食事での血液の流れについて理解をした上で、食後にランニングするとどうなるでしょうか?

胃にまだ食べ物が残っており血液が必要な状況にいるにもかかわらず、ランニングに使う骨格筋へ血液供給が優先されてしまい、消化吸収の為に使える血液が少ないので体内の混乱状態を招いてしまうのです。

その結果、満足に走ることができないだけでなく、消化不良を招いてしまうので、食後のランニングは体に毒であると断言できます。

食後のランニングで脇腹が痛くなる理由

昼休み明けの体育の授業で走った時の脇腹痛も同じ現象?

おっしゃるとおりです。

痛みが出る理由は、血液の過剰需要により脾臓(ひぞう)が急激に収縮するからです。

脾臓は、にぎりこぶしほどの大きさをしたスポンジ状の軟らかい臓器で、腹部の左上、肋骨のすぐ下に位置しています。

引用:ITP-info(ノバルティス ファーマー㈱)

メインである血液のろ過機能の他に、酸素を含んだ血液を蓄え、食事や運動等の多くの血液を必要とする活動に備える機能を担っています。

食後のランニングでは、消化と運動の同時の血液需要に対応しようとして、蓄えていた血液の急激な減少で脾臓の収縮が起きることで痛みを感じてしまうのです。

よくマラソンや駅伝のテレビ中継で、「左の脇腹を押さえています。」と言われいるのをお聞きしたことがある方もいると思いますが、あの原因は脾臓の収縮なのです。

食事と運動が及ぼす脾臓への影響にかかわる研究と実験

実際の研究結果を具体例として、食事と運動が及ぼす脾臓の収縮について説明します。

1997年にスウェーデンのカロリンスカ大学病院のロシュディ氏らが発表した、食事摂取が及ぼす脾臓のサイズに及ぼす影響に関する研究では 、 食前と食後の内臓のサイズをCTで比較すると、脾臓が約3%減少したことが分かりました。

また、1984年にアメリカのヴァンダービルト大学医療センターのサンドラー氏らによる実験で、10名の患者をから摂取されたサンプルから運動後の脾臓の収縮を確認することができました。顕著な例では、運動前と後で脾臓が半減してしまう患者の方もいたようです。

このように、実際の研究や実験でも食事と運動における脾臓の収縮が実証されています。

食事の後に走る場合に空けるべき時間

食事後は2時間空けてから走りましょう。

なぜなら、食べ物の消化が落ち着く時間が2時間とされているからです。

具体例として、2008年に金沢大学の横山正美准教授らが行った実験を挙げます。

この実験では、健常男性12名に対して食後30分と2時間の2条件下で15分間の自転車漕ぎをした際の代謝値を比較しました。

結果、ガス交換比(以下R値:酸素の取り入れと二酸化炭素の排泄)において、時間差の影響が確認することができました。

食後2時間条件ではR値が運動開始後10分までに運動時の定常状態に達したのと比較して、食後30分条件下ではR値が定常状態になるのに遅れが生じていることが分かりました。

効率的なランニングに酸素の安定した取り込みは欠かせないので、その観点から見ても、食事から2時間空けてから走るのが安全だと言えるでしょう。

どうしても食事の後に走るしかない場合の対策

私だって、食後走るのことが良くないのはなんとなくわかってる!
でも、走るしかない場合はどうすればいいの?

走る時間を確保したくても、どうしても食後しか走れないという場合はあると思います。私もありました。

そんなときに、重要なのは走り始めるまでの準備です。

なぜかというと、時間の無さに焦って、何の準備も無しに走り始めては結局、満足に走れないことに加えて消化も悪くなってしまうという最悪の結果を招くからです。

先ほどの横山氏の実験論文の考察章を参考に脇腹痛を軽減する為の対策をご紹介します。

①ウォーミングアップに時間をかける

時間をかけたウォーミングアップをしましょう。

なぜなら、食後急激に運動強度を上げると膵臓や肝臓が混乱してしまうからです。

食後は膵臓でインスリン分泌により、食事から吸収された糖をグリコーゲンに分解し、エネルギー源として肝臓などに貯蔵します。

一方で運動時は、肝臓などに蓄えておいたグリコーゲンを分解し、ブドウ糖として消費されます。

要するに、食後の運動はエネルギー源の貯蔵と消費という対照的な機能を同時に行わなければならず、膵臓や肝臓が混乱してしまうのです。

このリスクを軽減するためにも、ウォーミングアップが効果的です。

時間をかけて、低程度の運動から徐々に目標とした運動強度へ高めていくことで、体内にこれから運動を始めることを知らせることができ、エネルギー消費主体の運動する体制を整えることができます。

②ランニング前の食事は炭水化物中心に組み立てる

ランニング前の食事は炭水化物中心で組み立てましょう。

なぜなら、消化がいい上に、炭水化物含まれる糖質は重要なエネルギー源となるからです。

代表的な食事といえば、ご飯、うどん、パンなどが想像しやすいと思います。

一方で、脂質(脂肪)の多い牛・豚肉や揚げ物、食物繊維の多いごぼうやレンコンなどの食材は、消化に時間がかかり、長く胃に残り続けるので、大量摂取することは運動前には適しません。

ただ、炭水化物だけではバランスの偏りが生じやすいため脂質や食物繊維の少ない食材を摂ることで継続して走り続けるために必要な健康を維持することが重要です。

脂質が少ない食材

鶏ひき肉、ささみ
白身魚(たら、ひらめ)
大豆製品 豆腐、豆乳
乳製品 牛乳、ヨーグルト    

まず、身の白い鶏ひき肉やタラなどの魚が消化効率がよく、運動前の食事に適しています。なお、赤身の肉や魚は消化に時間がかかりますので運動前は極力避けるようにしましょう。

また、豆腐は消化の悪い大豆の繊維質を抜いてあるので消化がいいことに加えて、豊富にタンパク質を含むので重要な栄養源です。豆乳もつい沢山飲みがちですが、過剰摂取に気をつければ問題ありません。

そして、ヨーグルトをはじめとする乳製品は腸内の善玉菌を増やし、消化管の運動を促進し腸内環境の整備をしてくれます。

食物繊維の少ない食材(野菜)

野菜 大根
小松菜    
かぶ
山芋 
オクラ
キャベツ     
レタス

まず、大根、小松菜、かぶに含まれるアミラーゼは消化を効率化させる酵素を含みます。大根はすりおろすと効果大です。

また、山芋やオクラに含まれるネバネバ成分には胃や腸の粘膜を保護し、吸収した栄養の消化を促す効果があります。

そして、キャベツやレタスに含まれるビタミンU(キャベジン)には胃腸の粘膜の新陳代謝を活発にする効果があります。

食物繊維の少ない食材(果物)

果物 バナナ
りんご(すりおろし)  

まず、バナナの糖質は20分程度で消化できるため、早急に得られる持続的なエネルギ―源となります。

また、リンゴには消化酵素を含むため、他の食材とともに食べることで消化効率を上げてくれる食材です。すりおろすとその効果は3倍となりますので、おすすめします。

ランニングは食事の前にすべ

今回の記事の主張としては、ランニングは食事の前にすべきです。

理由としては以下の2点です。

  1. 食事の消化活動と同様にランニングには大量の血液が必要なため、食後に走ると脾臓に大きな負担がかかるから。
  2. 食後のランニングはエネルギー源の貯蔵と消費という対照的な機能を同時に行わなければならず、膵臓や肝臓が混乱してしまうから。

ただ、エネルギー不足が心配な場合は走る前に、バナナやゼリージェルやチョコなどで糖分を適量摂取するといいでしょう。

ランニングも食事の消化も体に負担がかかる行為であると理解したうえで、走るための準備をしてから取り組むようにしましょう。